2009年10月19日月曜日

アンウェイシステム体験その②

少し間延びしてしまいました(どうも申し訳ございませんm(_ _)m)

酒井医療主催「歩行リハビリテーションセミナー2009」より,
「可動式免可装置アンウェイシステム」のリハビリテーション効果とは・・・
【アンウェイシステムの根拠理論・原理】
講義によりますと,
★誘発される歩行様筋活動はステッピング時に下肢に加わる荷重や股関節からの求心性入力に強く依存する.
①療法士等の介入による受動的・半受動的ステッピング(歩行練習)によって歩行周期に応じた求心性入力が喚起される.
②求心性入力は脊髄のCPG;Central Pattern Generator;中枢パターン発生器を形成する神経回路を介して運動出力=歩行様筋活動を誘発する.
③求心性入力を繰り返すことでシナプス伝達特性が強化される.(運動学習)
④CPGからの出力を誘発するためには,股関節周囲の感覚入力と,荷重に関連した感覚入力が最低限必要となる.
ということだそうです.
僕には次の2点についてこの「アンウェイシステム」が非常に興味深く感じられました.
1点目:まず改めて感心した事がありました.講義中の映像で,片麻痺患者を従来通り療法士が介助して平行棒や杖で歩行練習している様子がありました.筋活動はモニタリングされているのですが,従来から療法士が行うこの種の歩行練習中に,麻痺している下肢に対してしっかりと筋活動を誘発させていることが筋電図的に確認されました.諸先輩方から教わり僕自身も今でも行っている様な介助歩行練習については有効であったと改めて思うことができました.
しかし,この種の介助歩行練習については,療法士の経験の差・患者の麻痺等状態による介助量の差等があり,療法士が持てる身体操作等手技を駆使しても,患者を転倒させないようにすることに注意が偏ることもあるのです.それにより歩行練習(頻度・内容)としては非効率な時もあります.
この問題について「アンウェイシステム」は,患者の身体を支え・転倒させないという注意を軽減し,麻痺側下肢の誘導介助に注意を集中でき,かつ更なる工夫・試行も行いやすい歩行練習環境になる可能性が大いにあるシステムみたいです.
2点目:今セミナーで僕は初めてCPG;中枢パターン発生器について知ったのですが,この神経機構について非常に興味深く感じられました.恥ずかしながら,このCPGについては未だ上手く説明することができませんが,CPGとは,脊髄内にあり・歩行,咀しゃく等意識せずに反復できる運動に関与し・脊髄反射とは違う神経機構であり・人の運動に密接に関与している脳幹,小脳と密に連携している神経機構だそうです.
このCPGを賦活することにより,麻痺等による同時収縮的な筋活動を正常な規則正しい筋活動に改善することができるらしいのです.
そして,CPGを賦活できる環境の一つが,体重免荷環境であり,それを歩行に関する治療に応用したのが「アンウェイシステム」のようなBody Weght Support Treadmil Training;BWSTTみたいです.
【歩行リハビリテーション効果】
「例:片麻痺患者に対する効果」
★麻痺側下肢の単脚立脚時間の増加★麻痺側-非麻痺側の対称性の改善★足関節底屈筋の歩行時の痙性減少★下腿筋を規則的な活動パターンに戻す
今セミナーの講師である京都大学の市橋先生などによると,「アンウェイシステム」のようなBWSTTは,
根拠理論=CGP,運動学習   エビデンスあり
トレーニング効果=様々な疾患に対して検証されている途上.
            エビデンスは?だが,可能性は大.
            至適な免荷量・速度・頻度・適応疾患について事例を積み重ねることが必要.
            BWSTT中の療法士のアプローチが重要.
と,まとめられていました.
また,何回か繰り返してお話されていたことは,シンプルだが,歩行の回復は歩行の機会・頻度を増やすことがやはり有効であるとの事でした.
その点からも「アンウェイシステム」はその理に適う安全で,有効な治療手段になり得るという話でした.
もし,自分が使えるのであれば僕個人的には,パーキンソン様の方やと脊髄小脳変性症様の方のリハビリに使用してみたいと思いました.
by 訪問リハ療法士N